※こちらは2022年の10月、12月に訪れた際のものです。2023年1月現在、美術館は閉館中です。改築工事と同時に、事業の継承が難航しているとのこと。
クレマチスの丘といえばベルナール・ビュッフェが有名で、子供の頃に訪れて心の奥をかき乱されるような経験をした人は多いのではないでしょうか。
その反対側に併設されているのが、こちらのヴァンジ彫刻庭園美術館です。
彫刻庭園の面白さは、日によって、訪れる度にその景色が変わることです。曇り空で見る彫像は暗鬱で、生きることの憂鬱さを表現しているかのようです。一方で晴れの日に訪れると、どんな悲惨な歴史もいつかは明るい太陽が照らす日が来ると、人間の希望を表現しているかのようです。
屋外展示の他にも、館内にも彫像や写真展などがあり、こちらも基本的には撮影自由です。フラッシュはもちろん禁止なので、AF照射オフも忘れないようにしましょう。
庭園はバラ園としても知られており、開花期になるとこれを見にたくさんの観光客が訪れるようです。
庭にはブランコがあり、子供が走り回ったり、また寝転がったりしている人などもおりますが、ルールだらけのレジャープールのように注意されることもありません。
このところの日本はコロナ感染対策とアルコール消毒のマニアが多くうんざりしますが、この開放的な雰囲気は、世俗の煩いをいっとき忘れさせます。ヴァンジ彫刻庭園の受付の方は大変丁寧ですし、いかに芸術を尊重しているかが伝わってきます。
併設するレストランは、二十歳頃に食べたときはこんなに美味しいものが存在するのかと驚きました。さすがに私も美味しいもの色々食べすぎたのか、以前のような衝撃はありませんでしたが、それでも十分に美味しい料理でした。
本場のレストランテで食事をしているかのような気分を味わえます。接客も非常に◎でした。多少の値段は張りますが、芸術を鑑賞して舌鼓を打つことで、文明社会のとてつもないほどの豊かさを味わうことができます。
この豊かさは幻か。誰かから奪ったものなのか。サプライチェーンの端っこで厳しい労働に搾取をされている人々のことを思い、21世紀の日本に生きる私という人間の傲慢さを思い知るのでした。
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住所:〒411-0931 静岡県駿東郡長泉町東野347−1